Story : Beer Trip

〜ラベルから読む物語〜 Vol.2「CHOUFFE / シュフシリーズ」

あなたにとってベルギービールの楽しみ方とは?「香りと味わいを感じて楽しむ」「様々な種類のビールを楽しむ」「相性のいいお料理と組み合わせて楽しむ」など、人それぞれの楽しみ方がありますよね。なかには、”ジャケ買い”のように「ビールラベルで選んで楽しむ」人も多いでしょう。そこで「ラベルから読む物語」では、ベルギービールのラベルに描かれている絵にまつわる物語を紐解いていきます。

第2話は「CHOUFFE(シュフ)」の妖精にまつわる物語。可愛らしい妖精がラベルにプリントされているシュフ。彼らについて、ほっこりするハッピーな物語をお届けしましょう。

〜ラベルから読む物語〜Vol.2「CHOUFFE / シュフ・シリーズ」

シュフシリーズのビールを醸造するのはアシュフ醸造所。ベルギー南西部に位置するのどかな村にあります。森と牧草地が広がる緑豊かなこの場所は絵画のように美しく、まさに森の妖精がいてもおかしくないほど牧歌的。シュフシリーズのすべてのラベルには、醸造所のマスコットである赤い帽子の妖精がデザインされています。

かつてベルギーでは“シュフ”と呼ばれる小さな妖精たちが妖精の谷で美味しいビールを造り、ベルギー全国に届けていました。しかし、いつしかその谷は消え、しかたなく人間たちは自分の手でビールを造ることになりました。

ときどき人間の世界に来ていたノーム(妖精)の一人であるマルセルは、シュフたちがかつて美味しいビールを造っていた場所で、ビールを造ろうとしている2人の兄弟に偶然出会いました。マルセルはその兄弟を助けようと、ずっと昔に消えてしまった妖精のビールのレシピを教えることにしました。そのおかげで、再び人間の世界で妖精の谷からのビールを楽しむことができるようになったのです。

……という、なんとも可愛らいいストーリーが有名ですが、アシュフ醸造所の物語の始まりは1970年代後半のこと。妖精の谷の真ん中で、義理の兄弟であるピエール・ゴブロンとクリス・バウヴェラールツが、クリスの義母のガレージで自分たちのビールを作ることにしたのがきっかけです。当時のわずかな資金で、彼らは醸造所のファンが今では “シュフ物語 “と呼んでいるようなビールを造り始めました。1982年8月27日、49リットルの第一作目が製造されます。

当初は趣味と思われていたアシュフ醸造所は、兄弟が4年間醸造を行っていた農場の購入を決めたことで発展しました。そして1986年、本格的に事業を開始したのです。

妖精にはどんなストーリーが隠されているのか

醸造所が成長するにつれ、妖精の家族も成長していきました。マルセル(ラ・シュフ)とマルコム(マック・シュフ)には、マシュー(フブロン・シュフ)などの新しい仲間が加わりました。妖精は、このシリーズのそれぞれのビールを表しており、ひとつひとつに独自のストーリーと特徴があります。

MARCEL(マルセル)
マルセルは妖精の中でも最も恐れを知らない妖精です。「ラ・シュフ」の製造に関わる主要な職人の一人である彼はじっとしていられない性格!一輪車を乗りこなす彼は、「ラ・シュフビール」を味わうため、すぐに醸造所に駆けつけて、一輪車で周りをグルグル爆走します。そしてビールを愛する人たちと最高のビールを味わい、共感するためになら、どこにでも現れます。そんなマルセルの情熱のおかげで、世界中で「ラ・シュフ」が注目されるようになったのは言うまでもありません。

MALCOM(マルコム)
ウェルカム、マルコム!彼は勇敢にもスコットランドからやってきた妖精です。よく見ると、ベルギーでは見かけないような、スタイリッシュなキルトを身に着けています。彼がアシュフ醸造所にきた理由……それはマック・シュフの味に惚れてしまったからに違いありません。マルコムは、こよなく愛する「マック・シュフ」のそばを離れません。いつも甘くて濃い「マック・シュフビール」にひげを浸しています。スタイリッシュ番長のお茶目な一面。

MATTHEW(マシュー)
マシューは「フブロン・シュフ」の妖精!彼は機会があるとすぐに、バッグに甘い香りを漂わせたホップをたくさん詰め込みます。詰め込みすぎてホップが足りなくなることも。他の妖精たちは困り果てていますが、ホップをたくさん採られないように定期的に彼を捕まえることを日課にしています。しかしマシューはバッグの中に頭を入れて隠れている時は、他の妖精には見つかりません。隠れるのがお上手なよう。

それでは早速ラベルを見てみましょう!まず注目したいのは、やはり妖精。赤い帽子がトレードマークの彼ら。それぞれのビールのラベルをよく見ると、なんだか楽しそうですね!どのような意味があり、どんなビールなのか見ていきましょう。

シュフ・ソレイユ

ビールタイプ:スペシャル・ビール
醸造所:アシュフ醸造所
アルコール度数:6.0%

太陽の光をビールボトルの中に入れるなんて、不思議の国の住人しか思いつきもしないでしょう。でもそれはまさにアシュフ醸造所の妖精たちが「シュフ・ソレイユ(Soleil = 太陽)」を造るときに考えたことなのです。柑橘系の豊かな味わいの中には、バニラとペッパーの風味がほのかに感じられます。さらに香りにはカモミールとエルダーフラワーのニュアンスがあり、個性的です。

ラ・シュフ

ビールタイプ:スペシャル・ビール
醸造所:アシュフ醸造所
アルコール度数:8.0%

「ラ・シュフ」は金色のビールで、1982年に2人の青年によって美しいアルデンヌ地方の小さな小屋で造られ、ベルギーで最初のクラフトビールと呼ばれています。新鮮なコリアンダーとフルーティーな風味を掛け合わせ、かすかにホップの味がします。アロマのスパイシーさは、胡椒を思わせる後味にも感じられます。高アルコール度数ですが強すぎる感覚はなく、むしろ爽やかなビールです。

マック・シュフ

ビールタイプ:スペシャル・ビール
醸造所:アシュフ醸造所
アルコール度数:8.0%

妖精のマルコムは常にキルトを着ていて、故郷であるスコットランドのバグパイプを吹いています。彼はダーク色の「マック・シュフ」を飲むことが何よりも好きです。濃いルビー色で、フルボディながら飲みやすいビール。コクが特徴のビールには異例の、スムーズでなめらかな口当たりです。濃厚なキャラメルの風味と、後味には美味しいフルーティーさ(洋ナシなど)があり、さらにほのかな苦味が美味なのです。

フブロン・シュフ

ビールタイプ:IPA
醸造所:アシュフ醸造所
アルコール度数:9.0%

2006年に初めて醸造された、IPAビール。「フブロン・シュフ」の妖精、マシューによって収穫された3種類のホップを使用しています。苦みとフルーティーな味わいが、絶妙なハーモニーを奏でます。英国の伝統的なIPAと米国の近代的なIPA、そしてベルギーの古典的な醸造法の3つのカテゴリーを上手にブレンドさせたユニークなビールです。「フブロン」とはフランス語で“ホップ”という意味です。

料理とのペアリング
Food x CHOUFFE = great match!

今回はアシュフ醸造所から4種類のビールを紹介しました。それぞれ特徴のある、素晴らしいビールです。ぜひ美味しいお料理と一緒に、妖精が造っている(とされている)ビールをご堪能ください!

トマトサラダ

トマトサラダの口当たりと、酸味のある味わいがシュフのビールと相性抜群!どのシュフビールを選ぶかは、あなたのお好みで!

肉豆腐

騙されたと思って試してほしい一品。肉と豆腐にしみこんだ出汁と、ビールの絶妙なマリアージュをお楽しみください。

ミートボール

スパイスを効かせたミートボールを、トマトソースまたはクリームソースと一緒に召し上がれ。

生姜焼き

肉料理の中でも生姜の効いたこちらの料理とペアリングすれば、美味しさ倍増!より一層引き立ててくれます!

ラベルから読む物語「シュフ」はいかがでしたか?なんだか可愛い物語が隠されていましたね。それに、ペアリングのできる範囲が広いので色々試してみる価値あり!次回の物語もお楽しみに!

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