Story : Beer Trip

ブラッセルズ・ビア・プロジェクトのセバスチャンに10の質問

CO-CREATION、シェアブルワリー、クラフトビールのセカンドウェーブとは

「CO-CREATION」をモットーにビールを造るブラッセルズ・ビア・プロジェクト(Brussels Beer Project。以下BBP)。創立者であるセバスチャン(Sebastien Morvan)がベルギーから来日し、東京の新宿にあるタップルームを訪れた。来日中のセバスチャンに、BBPのユニークな取り組みや世界のビールトレンドについて、10の質問をしてみた。

セバスチャンがオリビエと初めて会ったのは、13年前のカナダ。当時留学中だったが一緒に飲みに行ったことがきっかけで、5年前にこのプロジェクトをスタートするに至ったという。

 

「Co-creationがBBPのDNAなんだ」

01. 

Tell me about yourself, Sebastien.
セバスチャンご本人について教えてください。

僕はフランスのブルターニュ出身で、共同創立者のオリビエはベルギーのブリュッセル出身なんだ。ブリュッセルで一緒にビール醸造をやろうってオリビエに誘われて、僕は喜んでその誘いに乗ったんだ。今はすっかり僕もブリュッセロワ(ブリュッセルっ子)気分だよ! 

初めて会った時の僕とオリビエだよ!BBP新宿のドアに貼ってるんだ。ちなみに僕は左だよ。

02. 


“What is brewing” at BBP?
ブラッセルズ・ビア・プロジェクトって何をしているの?

今は2週間ごとに新しいビールを造っているから、毎年30ものビールの試作品を造ってることになるよ。
13%程度のアルコール度数の高いものから、2%程度の低いものまで、サワー系など酸っぱいビールから、苦味が強いもの、マイルドなものまで造っているよ。僕らのビールはひとつの型にはまらないんだ!醸造はまるで料理のよう。直感的なアプローチだと思う。

BBPで初めて造ったビールのプロトタイプは、アルファ、ベータ、ガンマ、デルタの4つ。ブリュッセル市内のカフェ10店舗を選んで、2時間くらいの小規模なテイスティング会を開催したんだ。勝ち抜いたのはデルタで、今もBBPの定番ビールなんだ。投票に参加した人にはカフェ関係やビール関係者もいて、今でも交流してる。なかでも、カナダ、ブラジル、日本からの醸造所とはコラボレーションを実現するまでに至った。

コラボレーションを積極的にしていて、今までに音楽家とミュージック・ペアリングをしたり、編集者やデザイナーとコラボレーションしている。みんな口を揃えて言うのが、「革新的なことをしたい」ということ。
「Co-creation」(共創)こそがBBPのDNAなんだ。「Co-creation」とは、多用な立場の人が対話しながら新しい価値を生み出していく考え方のことさ。

「最初は醸造所なんてなかった」

03. 


Where and how do you brew?
どこでどうやって醸造してるの?

まず、僕はもともと醸造家ではなかったんだ。ガレージで始めただけ。だから29歳の時、醸造の勉強をするためにもう一度学校へ通い始めたのさ。

カナダに行った時、本物の「ビール」に出会ったんだ。僕の生まれ育ったフランスで飲んだビールは、イングリッシュスタイルなビールだったから、そこまで好きではなかったんだよね(笑)。退屈なビールという感じ。カナダに行った時、クラフトビールが流行っていた。醸造している人たちは、醸造家でもないし、代々続く醸造ファミリーというわけでもない。全くの素人がビールを造っていたことに感激したんだ。だから、自分たちでもできるんじゃないかな、と思ってやったのがきっかけだった。

まず、ブリュッセルから車で30分ほど走った場所にある醸造所で、ファントムブリュワリーとして始めたんだ。それから、コミュニティのみんなとクラウドファンディングの支援者と一緒に、ブリュッセルのダンセエールで自分たちのブルワリーを作った。年に30種類ほど造る試作ビールには名前はなくて、飲めるのはブリュッセルとパリ、新宿にあるBBPのタップルームだけ。そこで良い反応が得られたビールには名前を付けて、世界中に送るというわけ。
毎年1つのテーマ(ホワイト、フルーツ、セッション等)に沿って、プロトタイプを4種類醸造するんだよ。その後、テイスティングセッションと呼ばれる試飲会と投票をするイベントを開催して、選ばれたビールがBBPの定番ビールになるんだ。ダンセエールのブルワリーの醸造量はまだ小さいから、いつかもっと大きな醸造所をもつことが夢なんだ。

04. 


Why Brussels?
なぜブリュッセルで始めたの?

実はブリュッセルに来る前は、ブラジルにいたんだよ。オリビエには、奥さんと子どもがいたんだけど、思い切って仕事を辞め、一緒にベルギーでビールを醸造しようと決めて、みんなで移り住んだんだ。新しい家のリビングルームで、オリビエの奥さんは妊娠7ヶ月で浮かない顔をしていたのを覚えてるよ…。かなりイラついてたな…(笑)。まっ、そういうわけでガレージでビール醸造を試したのが始まりさ!(笑)

ベルギービールの概念には、とことん驚かされる。ビールのセンスが素晴らしいんだ。だからベルギーのブリュッセルでビールを造ろうと思った。それにブリュッセルの街並みは、とても綺麗なんだよ!コスモポリタンな街だね。ブリュッセルには多くの外国人がいて多文化なんだ。僕のチームも多国籍で、ポルトガル人、イギリス人、アメリカ人、ベルギー人がいる。多国籍多文化だけれど、みんな心はブリュッセロワ、ブリュッセルっ子さ。

05. 


Tell me more about BBP Shinjuku.
ブラッセルズ・ビア・プロジェクト新宿について教えてください。

ブラッセルズの藤田さんに出会ったのはおよそ3年前、ブリュッセルのビアカフェでね。お互いにいい印象を受けて、10日後に藤田さんからメールが来たんだ。その後、話がどんどん進んで僕よりも先にビールが日本に行くことになって、人生で初めてビールに嫉妬したよ(笑)。新宿のタップルームは最高さ!実現に至るまで協力してくれた多くの人に感謝しているよ。
2018年の5月にBBP新宿の1周年をお祝いできて、「#Beer For Life」が形になっているのを見て嬉しかったよ。「#Beer For Life」は、2013年に始めたクラウドファンディングなんだけど、僕らのビールを信じて支援をしてくれて、一生涯毎年ビールを受け取れるという人を増やしているんだ。今は3200人の支援者がいて、その内日本人は96人。彼らはBBP新宿で毎年6本のビールを受け取れる。今年の3月には、パリのピガールに3つ目となる店舗をオープンしたんだ。他と違うことを目指しているし、コミュニティを育てていきたいと思ってる。ベルギー、日本、フランスに店があることが嬉しい。僕らにとって、ローカルのコミュニティと関わることが大切なんだ。

「クラフトビールのセカンドウェーブは、バランスのとれたビールが流行ってきたと思う。それはまるでベルギービールのよう」

06. 


What is the beer trend nowadays?
最近はどんなビールが流行っていると思いますか?

まずベルギービールはドイツビールとは全然違う、クレイジーでクリエイティブなビール。なんといっても、様々なハーブを使用してみたり、酸味のあるものから苦味のあるものまで多種多様なビールを造ったりしている。僕みたいなビール界の中でも新しい世代が、新しい流行を作れているといいな。遊び心あるビールが作れるのもベルギービールのいいところ。肩肘張らずに、遊び心をもった考え方は典型的なベルギー人の特徴だね。

クラフトビールのファーストウェーブはホップが強めで、「ホップを喰らえ!」といわんばかりの味だった。対してセカンドウェーブは、バランスのとれたビールが流行ってきたと思うよ。それはまるでベルギービールのよう。醸造や味はもちろんのこと、新しい世代はデザイン重視にもなってきている。

将来はビールについてみんながいろいろ知っている時代が来るだろう。ホップの種類について話し合ったり、原料について会話をする将来が近いと思う。ビールの未来は明るい!

07. 


What kind of beer do you like?
どんなビールが好き?

実は、次の試作品のビールが好きなタイプなんだ(笑)。まぁいつもなんだけどね。いつも醸造中の新しいビールが、僕の好きなビールのタイプなんだ。でもまだ秘密!基本的にはサワー系の酸味の強いビールが好きだよ!

 

「やっぱりプロジェクトと呼ばざるをえない」

08. 


What is the goal of BBP?
BBPのゴールは?

注目されてきたけど、ベルギーやブリュッセルの新しい顔になりたい。ブリュッセルを変えていきたい。新しいブリュッセル、そしてベルギーのために、ビールを通じて貢献していきたい。BBPは、やっぱりプロジェクトと呼ばざるをえない。いろんなビールを試すプロジェクトを繰り返し行っているから。

09. 


What represents Brussels for you?
ブリュッセルといえば?(小便小僧以外で)

ブリュッセルは、この数年で大分変わったよ。いい変化だと思う。サント・カトリーヌ教会のエリアが好き。レストランがたくさんあって最高な雰囲気。まさにブリュッセルの人種のるつぼという感じ。34歳の牧師さんも面白くて一緒にビールを醸造したりもしたよ。あとは、カンブルの森。巨大でいつも迷子になっちゃうんだけど!ローカルのみんなはそこに行ってのんびり過ごすんだ。

10. 

What is your favorite beer café?
最後に、お気に入りのビアカフェを教えてください。

お気に入りは、サント・カトリーヌエリアの「ViaVia Café」。ここは、BBPがスタートした場所なんだ。いわばBBPの原点と言っても過言ではないかもしれない。他にも、同じエリアの「Bar Monk」も好き。ブリュッセルに行く際は、ぜひ行ってみてね!

ViaVia Café

ViaVia Café

ViaVia Café

ViaVia Café

ブラッセルズ・ビア・プロジェクト新宿

東京都渋谷区代々木2-20-16
03-5388-5523

Website

BBPのビールは、ベルギービールウィークエンド2018でも飲めます!
BBWで飲めるビールはこちら!

 

 

01. 


JUNGLE JOY
ジャングルジョイ
Alc. 6.5%

2017年「ブラッセルズ・ビア・プロジェクト」の投票でお客さんが選んだNo.1フルーツ・ビール。マンゴーとパッションフルーツを使い、ベルジャンダブルイーストで醸す、甘くない大人のフルーツ・ビールです。

BBW2018出店場所:東京(六本木)
どんなビールだろう?

02. 

RED MY LIPS
レッドマイリップス
Alc. 4.7%

2016年の投票で1位になり商品化されたベルジャンセッションビールです。低アルコールながら、ベルギービールらしいしっかりとした麦の味わいとホップの爽やかさがあり飲み飽きません。

BBW2018出店場所:BOUTIQUE(いつどこで飲めるかわからないブティックコーナー)
どんなビールだろう?

 

03. 

DARK SISTER
ダークシスター
Alc. 6.6%

デルタIPAのシスタープロダクトとして醸造されたブラックIPA。セゾンビールの味わいにアメリカンホップ、深いモルトの香ばしさも楽しめます。

BBW2018出店場所:BOUTIQUE(いつどこで飲めるかわからないブティックコーナー)
どんなビールだろう?

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