Belgian Beer
なぜ、ベルギーのビールはこんなにも自由なのか。
January 2026
世界には、たくさんのビールがあります。
でも、ベルギービールは少しだけ特別。
一杯の中に、長い歴史や土地の記憶、
そして造り手の遊び心まで詰め込んでしまう——
そんなビール文化が、ベルギーには息づいています。
ベルギーが「ビール天国」と呼ばれる理由
世界には、さまざまなビール文化がありますよね。
同じ「ビール」という飲み物でも、国や土地が変われば、その表情は驚くほど違います。
ドイツのビールは、伝統的な製法を大切にしながら造られ、使える原材料も法律で厳しく定められています。
その制約の中で磨き上げられた、すっきりとした飲みやすさと完成度の高さは、まさに職人技。毎日でも飲みたくなる、安心感のある味わいが魅力です。
一方、アメリカのビールはとても自由。
ホップの香りや苦味を前面に押し出したスタイルをはじめ、スムージーのような口当たりのもの、思わず写真を撮りたくなるような色鮮やかなビールまで、その表現はとにかく多彩です。
「ビールって、こんなに遊んでいいんだ」と感じさせてくれる、ポップでエネルギッシュな世界観があります。
少し違う道を歩んできた、ベルギービール
そんな中で、ベルギービールは少し違う道を歩んできました。
むしろ、「元祖クラフトビール」と呼んでも言いすぎではないかもしれません。
ベルギービールの奥深さの源にあるのは、長い歴史と独自の醸造文化。
中世から続く修道院での醸造、自然界に存在する微生物に委ねる自然発酵、そして西フランダース地方で造られる赤みがかったレッドブラウンタイプのビールなど、ベルギーでは地域ごとにまったく異なる個性が育まれてきました。
それらは過去の遺産として保存されているのではなく、
今も「日常のビール」として、静かに、でも確かに生き続けています。
世界でも珍しい「4つの発酵方法」を持つ国
さらにベルギーが特別なのは、
上面発酵・下面発酵・自然発酵・混合発酵という、世界でも珍しい4つすべての発酵方法を使い分けている国であること。(記事を見る)
ドイツのように使用原材料が法律で決められているわけではないため、ベルギーの醸造家たちはとても自由です。
チョコレート、パン、ゆず、柿の葉、カニ、牡蠣、炭、ベーコン──
「そこまで使うの?」と思わず笑ってしまうような素材も、ベルギービールの世界では自然に受け入れられてきました。
時間をかけて味わうのがベルギービール
こうした自由さは、決して「何でもあり」という意味ではありません。
ベルギーの醸造家たちは、長い歴史の中で培われてきた技術や知恵を土台にしながら、素材や発酵と真剣に向き合い続けてきました。
だからこそ、ひと口飲んだ瞬間に感じるのは、奇抜さよりも不思議なバランス。
甘さ、酸味、苦味、香りが幾層にも重なり合い、ゆっくりと表情を変えていきます。
ベルギービールは、急いで飲むより、時間をかけて味わいたくなるビールなのです。
このオンラインマガジン「SIP」も、そんなベルギービールの在り方をイメージして運営しています。
ゆっくり、じっくり味わうベルギービールのように、上質なベルギービール文化の情報を、慌てず丁寧に届けたい。
SIPとは、「少しずつ飲む」という意味。
このマガジンを通して、ベルギービールのことをもっと知りたい、
少し気になった、いつか飲んでみたい——
そう感じてもらえたなら、これ以上嬉しいことはありません。
ここに綴られた物語が、
あなたの次の一杯につながっていきますように。
ベルギービールは、知れば知るほど面白く、
飲むたびに、新しい表情を見せてくれます。
その魅力を、音楽や人のにぎわいとともに味わう時間は、
きっと、日常を少しだけ特別にしてくれるはず。
次の乾杯の舞台は、もうすぐ。
ベルギービールウィークエンドでお待ちしております。
ベルギービールウィークエンド事務局 – Keiko