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サンタさん、クリスマスビールを持ってきて!

「いくらなんでも、クリスマスとベルギービールを結びつけるのには無理がある!」って思ってる?いえいえ、そんなことはないのよ!ベルギーのクリスマス事情を知ったら、間違いなくクリスマスまでベルギー流に過ごしてみたくなるはず。ホットワインならぬ「ホットビール」があったり、冬季限定「クリスマスビール」が販売されていたり、サンタクロースの起源となるお祭りがあったり…と、ベルギーのクリスマスはすっごくおもしろいの。ビール片手に、ひとまず読んでみて!

01. 

Let’s toast in style with a magnum bottle!
マグナムボトルでみんなで乾杯!

ビール大国のベルギーには「クリスマスビール」というジャンルが存在する。ベルギー国内の醸造所は、クリスマスにむけて冬季限定のビールを仕込むのだ。通常のビールに比べると、シナモン、クローブ、リコリス、バニラビーンズなどさまざまなスパイスを原料とすることが多いのが特徴。また、アルコール度数が高いものや、味の濃いビールが多く醸造されるのも、クリスマスビールならではだ。時間をかけてゆっくり飲めば、ワインのように味や香りに変化が現れて、ずっと美味しく飲むことができるのだ。時間が経つと違う味わいが出てくるなんて…ビールとは思えない!

そんなクリスマスビールをもっと美味しく飲むには、「マグナムボトル」と呼ばれる大きなボトルで飲むのがいいとされている。マグナムボトルは通常よりも大きい、1.5リットルサイズ!ベルギーでは、クリスマスの時期になると家族や友達が大集合。このマグナムボトルをみんなでシェアして飲むのだそう。また、大きいボトルは通常サイズよりもより深く発酵するといわれており、ボトルの大きさによって同じビールでも味わいが変わってくることもある。ボトルで飲むなら、断然マグナムボトルが美味しいのだ。

02. 

Hot beer is… hot!?!
ホットビールは喜びにあふれた味!

日本でクリスマスマーケットに行くと、よく目にするのがホットワイン。ホットワインは一般的に赤ワインにスパイスを入れて温めたもの。日本でホットワインは浸透してきたが、「ホットビールとはなんぞや!」と思われても仕方がない。日本では馴染みのないホットビールだが、意外にも世界的に古くから存在している。中でもベルギービールのようなさまざまな原料を使用しているビールは、ホットビールを作るのに最適ともいえよう。

今回紹介するのは、「Liefmans Gluhkriek(リーフマンス・グリュークリーク)」。このビールはもともと、ホットビール用に作られたビールだ。電子レンジで温めるのもよし、好きなスパイスや果物を入れて煮詰めるのもよし。簡単に家でホットビールを作ることができる。45〜70度に温めるとちょうどいい。「Liefmans Gluhkriek」を温めると、優しくはじける炭酸とともに、エキゾチックなスパイスとフルーツの香りが部屋全体へと広がり、クリスマス気分を高めてくれる。そんなエレガントで優雅な香りで、寒い時期に体を暖めてくれる、最高にユニークなホットビール!さらにアルコール度数が6.0%と高すぎないので飲みやすいのも嬉しい。

筆者のおすすめは、シナモン・クローブといったスパイスにドライフルーツ(イチジクやデーツ)と、少しだけ蜂蜜を入れて煮詰めること。ほどよく甘みが増して、一口飲めば海外のクリスマスマーケットに瞬間移動したかのような気分にさせられる。

03. 

Santa can you hear me? I’ve been good all year! … well most of it…
サンタさんにお願いしたいクリスマスビール4選!

さて、ここらへんで飲みたくなってきたのでは?クリスマスビールを紹介しよう。

GAULOISE CHRISTMAS
ゴールワーズ・クリスマス

甘みのある、そしてスパイスの効いた典型的なベルギーのクリスマスビール。一口飲めば口の中に広がるのは、コリアンダー、リコリス、シナモンと、かすかに感じるのがココアやキャラメル。またレーズンやプラムといったフルーティーさが、スパイシーな香りとマッチ。そんなコクのあるこのビールは、クリスマスの食事にぴったり!とくにジビエ、チーズ、さまざまな肉料理との相性が抜群だ。

アルコール度数:8.1%
デュ・ボック醸造所

GOUDEN CAROLUS CHRISTMAS
グーデン・カロルス・クリスマス

なんと35年もの間、封印されていたクリスマスビール。2002年から再び作り始めたのだ。ドライフルーツのデーツやイチジクのような香りに、シナモンやリコリスといったスパイス、ほんの少し感じる酸味が複雑で、上品な仕上がりとなっている。そんな甘みとコクのあるこちらのビールは、クリスマスの食後に出てくるようなチョコレートケーキなど、デザート系と合わせるのがおすすめ!

アルコール度数:10.5%
ヘット・アンケル醸造所

CHOUFFE N’ICE
シュフ・ナイス

ラベルの小人がなんとも可愛らしいこちらは、ハーブやフルーティーな風味を楽しめる、甘みを感じるビール。ダークな色合いは主発酵前に加えているキャンディーシュガーによるもので、ビールの苦味を抑えてまろやかさを引き出している。ムーディーなクリスマスにぴったりのこちらのビールは、ジビエ、ミートボール、シチューやティラミスと合わせるとより美味しく飲むことができる。

アルコール度数:10.0%
アシュフ醸造所

TONGERLO CHRISTMAS
トンゲルロー・クリスマス

1年に1回だけ醸造される、クリアな琥珀色をしたアビィ・ビール。通常のビールにスパイシーな香りと程よい苦味が絶妙に加わり、果実のようなフルーティーさで軽やかな飲み口だ。甘さ控えめなので、ドライでキレのある後味とコクが爽快!1杯目からスッと飲めてしまうクリスマスビールだ。そんなトンゲルロー修道院には、ダ・ヴィンチ作「最後の晩餐」のもっとも忠実なレプリカが飾ってあるのだとか。

アルコール度数:7.0%
ハーヒト醸造所
取扱店:成城石井

04. 

When a Christmas beer is so good, it becomes a regular!  
定番ビールに昇格した元クリスマスビール

ここで少し小話を挟もう。今や定番となったベルギービールの中に元クリスマスビールが混じっているのをご存知だろうか?クリスマスの時期に登場するビールの中でも、大好評で通年販売されるようになるビールが稀にあるのだ。聞いたことがあるかもしれない、こちらの2つのビールについてお教えしようではないか。

STELLA ARTOIS
ステラ・アルトワ
Alc. 5.0%

今やベルギー国内で輸出ナンバーワンの、ピルスナータイプのビール。世界中で愛されているステラ・アルトワ。実は1926年にステラ醸造所よりクリスマスビールとしてルーベン市民に販売された。このステラはラテン語で“星”を意味し、ラベルには星があしらわれている。クリスマスのシンボルでもある星がラベルに印刷されているのはお気付きであっただろうか?1930年から定番ビールとして、ヨーロッパ市場で発売されるようになった。もともとクリスマスビールだったとは感じさせないほど喉越しスッキリ!アルコール度数は5.0%とやや低く、ホップが香る爽やかなビール。

飲む機会があれば、ぜひラベルの星マークをチェックしてみよう!どことなくラベルのデザインがクリスマスっぽい雰囲気なのは、気のせいではない。

CHIMAY BLUE
シメイ ブルー
Alc. 9.0%

ちょうど70年前の1948年にクリスマスビールとして登場したのが、このシメイ ブルー。その味わいが評判となったことと、1954年に新しい醸造ホールが開かれたことにより、通年を通して生産販売されるようになった。このビールはトラピスト・ビールの中でも花形”最高峰”と評されている。ローズのような軽いフローラルな香りに、豊かなキャラメルフレーバーを持ち合わせているのが特徴。10〜12度に冷やして味わうと、このビールのもつ豊潤さが引きだち、更に豊かなコクが口の中いっぱいに広がる。

またシメイ ブルーはヴィンテージビールと呼ばれ、ワインのように温度が低く暗いところに数年寝かせると、より一層風味が増す。ちなみに5年以上12年未満がちょうどいい飲み頃なのだとか!

ここで紹介したビールは、すでに日本国内では定番化したベルギービール。レストラン、バー、スーパーで見かけたらぜひ手にとって!一年中クリスマス気分を味わえるなんて、ちょっぴり素敵ではありませんか。

05. 

You’d better enjoy Christmas holidays in Belgium!
ベルギーのクリスマスって楽しいことだらけ!

ここで問題です。ベルギー人はクリスマスにどんなことをしているでしょうか?

A:スケートをして遊ぶ
B:子どもはクリスマスよりも早めにプレゼントをもらう
C:ベルギー名物チョコレートが街中でクリスマス仕様に大変身

答えは…ぜんぶ正解!

クリスマスマーケットといえば、隣国ドイツが有名かもしれない。だがベルギーでも毎年大規模なクリスマスマーケットが開催されているのだ。アントワープ、ブルージュ、ゲント、ルーベンなどの主な都市で、12月初旬頃からクリスマスイベントが開催される。ベルギー国民のみならず、世界中の観光客が押しかけるクリスマスマーケット。彼らの目的はなんといってもイルミネーションや食べ歩き、スケートリンクで遊ぶこと。スケートを楽しむのは子どもだけじゃない!おじいちゃんやおばあちゃんも、みんなスケートが大好きだ。

それにこの時期は、ベルギー人の大好物“スペキュロス”クッキーが美味しい季節!このクッキーは、シナモン・クローブなどスパイスを練り込んだ生地でつくるクッキーのような焼き菓子だ。街中でいろいろな形をしたスペキュロスが売られる。そして、ベルギー名物チョコレートは、クリスマス仕様に大変身!街中のショコラティエがクリスマスのデザインをお披露目するのは定番だ。

サンタクロース?
いいえ、シンタクラースだ!

シンタクラース、なんとあのサンタクロースの原形とも言われている。写真を見ると、ほぼ我々の知っているサンタクロースではないか!?

12月25日のクリスマスとは別に、おもに子どものために「シンタクラース(仏語:サンニコラ)の日」というイベントが開催される。シンタクラースは、もともと聖人ニコラスとして知られるキリスト教の聖人。ブリュッセルでは、12月初旬にシンタクラースが町にやってきて大規模なパレードが開催される。

12月6日聖人の日に、1年間良い子にしていた子どもはプレゼントがもらえて、悪い子は12月5日夜の寝静まったころに袋に詰められてスペインに連れていかれる、と両親に教わるのだ。また、この日はシンタクラースが一緒に連れてくる馬やロバのために、子どもたちは家の暖炉やストーブ周辺に餌のにんじんを置くのだ。翌日、にんじんのスープやにんじんの付け合わせが食卓にたくさん出てくるのを不思議がる子どもが多いとかいないとか…クリスマスの日はさらに別でプレゼントをもらえる。しかも年始年末になれば、祖父母からお年玉のようにお金をもらえるのだ。ベルギーの子どもにとって12月は大イベント!3回もプレゼントがもらえるというわけ。

日本と違うベルギーのクリスマス、いかがですか?ベルギーに行きたくなったのでは?今年はクリスマスビールを飲みながら、ゆっくり家族やパートナーと過ごしてみるのもいいかもしれない。お好みのクリスマスビールを見つけて、素敵なクリスマスを良い子”に過ごして!さもなくば、スペインに連れて行かれちゃうかもよ?

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