Story : Beer Trip

〜ラベルから読む物語〜 Vol.1「ORVAL / オルヴァル」

あなたにとってベルギービールの楽しみ方とは?香りと味わいを感じて楽しむ、様々な種類のビールを楽しむ、相性のいいお料理と組み合わせて楽しむなど、人それぞれの楽しみ方がありますよね。中には、”ジャケ買い”のようにビールラベルで選んで楽しむ人も多いでしょう。そこで「ラベルから読む物語」では、ベルギービールのラベルに描かれている絵にまつわる物語を紐解いていきます。

第1話は「ORVAL(オルヴァル)」の指輪にまつわる物語。ベルギービールは1500種類以上もあると言われています。その中でも伝統的なトラピスト・ビールから、ロマンチックな物語をお届けしましょう。

〜ラベルから読む物語〜Vol.1「ORVAL / オルヴァル」

ビール名:オルヴァル
ビールタイプ:トラピスト・ビール
醸造所:オルヴァル醸造所(修道院内)
アルコール度数:6.2%

オルヴァルは、1931年から修道院内で醸造しているトラピスト・ビール。ビール界のレジェンド、マイケル・ジャクソン(ビール評論家)に最高峰の地位を与えられたビールとして、その名は広く世界中に知られることとなった。製法はイギリスで多く用いられるドライホッピング製法で、醸造過程で酵母とキャンディーシュガーを入れている。さらに、瓶内3次発酵をさせるのが特徴的。この製法によりきめ細かい泡立ちやフルーティーな香り、苦みの効いた味わいが生まれるのだ。

 

それでは早速ラベルを見てみよう!

まず注目したいのは、ラベルが瓶の首元に張り付けられていること。これってなかなかユニークじゃない?

さて、デザインを見てみると魚と指輪…?そう、これは“指輪をくわえた鱒(マス)”なのだ。
修道院とは関係なさそうだし…どうしてこのデザインがあしらわれてるの?

答えは、オルヴァル修道院に古くから伝わる「マチルドの伝説」にありました。

マチルドの伝説とは一体?

イタリアの南に位置するトスカーナ地方から、マチルド・トスカニー伯爵夫人がこの地を訪れます。夫を亡くしてまもなくのことでした。谷にある泉のほとりに腰かけていると、うっかり亡き夫の形見である結婚指輪を泉へ落としてしまいます。夫人は聖母マリア様に祈りを捧げました。「指輪が戻ってきたならば、この地に修道院を建てます」と。泉を見てみると、指輪をくわえた鱒(マス)が水面へと姿を現したのです。それを見たマチルド夫人は驚き、こう言いました。

「まぁ!本当にここは黄金の谷(Val d’Or)だわ!」

このことから、この地域をオルヴァル(Orval)と呼ぶようになったのです。

1070年に南イタリアから修道士が招かれて、あっという間に修道院の建設作業が始まりました。マチルド伯爵夫人により建設の基礎資金が提供され、1124年に建設。それから、数回の焼失や再建を繰り返したのち、1931年に再建資金を得る手段としてビール醸造を開始。そう、焼失でなくなった修道院を再建する為にビール醸造所が造られたのです。翌年1932年から早速ビールを販売開始しました。当初はボトル販売ではなく、樽でのみ販売していたそうです。

料理とのペアリング
Food x ORVAL = great match!

オルヴァルは、ピルスナービールのようにグビグビ飲むタイプのビールではない。ワインのようにゆっくり飲むことが鉄則!時間が経つとともに味が変化するのを楽しんでほしいから。そう、温度の変化で味が変わるユニークなビールなのだ。そんなオルヴァルと合わせて食べてほしい料理をご紹介しよう。

チーズ

ウォッシュタイプのチーズをおすすめします。クリーミーで滑らかな口当たりと、食べやすい味わいがオルヴァルと絶妙なマリアージュを生み出します。

シーフード

シーフードの中でも、レモンなど柑橘系を添えたり、爽やかなフレーバーのソースを絡めたりした料理と相性抜群です。スモークサーモン x ケッパーも非常に相性がいいです。

ソーセージ

オルヴァルはスパイシーな味わいを感じられるので、ぜひスパイスの効いたソーセージと一緒に召し上がっていただきたいです。プロシュートなど、塩っ気の強い肉料理もおすすめですよ。

たこ焼き

騙されたと思ってペアリングしてほしいおすすめの一品!たこ焼きは、意外にもベルギービールに合うんです。ソースがオルヴァルの美味しさをより一層引き立ててくれますよ。

ラベルから読む物語「オルヴァル」はいかがでしたか?なんだかロマンチックな物語が隠されていましたね。オルヴァルは甘味と酸味がほどよく調和され、独特な味わいが世界中のビールファンを魅了しています。もちろん日本にも多くのオルヴァルファンがいますね。食前酒として栓を開けたり、誰も試したことのない料理とのペアリングを楽しんでいるようです。
次回の物語もお楽しみに!

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