Story : Beer Trip

セゾン・ビールは感染症から生まれたビールだった!?

「セゾン・ビールってなんだか聞いたことはあるけれど、どんなビールなの?」と疑問に思われる方も多いのでは。なんとなく知っている知識で飲まれちゃ、困ります!セゾン・ビールのヒストリーや特徴について知れば、あなたもこのビールの虜になること間違いなし!

セゾン・ビールとは、こういうビール
Tell me about Saison beer!

セゾン・ビールを語るには16世紀まで遡る必要がある。というのも、当時のヨーロッパでは感染症の流行により、生水は危険な存在であった。そこで農家では水分補給のために生水ではなく、収穫した穀物でビールを造って飲むようになったのだ。それが「セゾン・ビール」の始まりとされる。

まだ冷蔵技術が発展していなかった時代だったため、冬にビール醸造を開始して夏まで発酵・熟成をし、夏に飲んでいたそうだ。それが「セゾン(Saison)」という名前(“季節のビール”の意)の起源とされ、今では通年で飲まれるポピュラーなビールとなった。

しかし、かつては消えたも同然のビールだった
Saison beer nearly disappeared

セゾン・ビールは世界中のクラフトビールメーカーにインスピレーションを与え、現在は様々なバージョンが生み出されている。しかし、1980年代にはこの伝統的なセゾン・ビールはほとんど認知されていなかった。そう、消えたも同然な存在だったのだ。

セゾン・ビールは小規模な醸造所や家族経営の醸造所で多く生産されており、残念ながら彼らは自分たちのビールをより大きな市場に押し出す手段や意欲をまったく持っていなかった。そのため、セゾン・ビールは徐々に姿を消していったのだ。”ランビック・ビール“と並ぶほど伝統的なビールなのに、彼らにとっては忙しい夏に畑で働く農民や畑仕事をする人々の喉の渇きを癒すための「ただの水分補給」に過ぎなかったのだ。

 

世界中で人気が高まっている!
Popular all over the world!

たったの30年前までは、醸造された地域の年配の愛好者にしか評価されていなかったセゾン・ビール。ところが、セゾン・ビールを一躍有名にしたのが、世界的に知られるビール評論家である故マイケル・ジャクソン氏である。1991年に出版された著書「Michael Jackson’s Great Beers of Belgium(マイケルジャクソンの『地ビールの世界』多彩な味わいベルギー・ビール」訳:田村功)」の中でセゾン・ビールについて述べたことがきっかけとなり、ビール業界の注目を浴びることに。1990年代初頭にはアメリカの輸入業者の需要が高まり、それ以来、セゾン・ビールの人気はもの凄いスピードと勢いで増しているのだ。最近では、文字通り何百ものセゾン(または「ファームハウスエール」)がアメリカ全土で誕生している。

一方でベルギーの伝統的なセゾン・ビールは海外のビール愛好家の間で人気が高まっており、多くの醸造家はセゾン・ビールの豊かな伝統を尊重し、レシピに手を加えないようにしているのだそう。

香りが華やか!
Gorgeous aroma!

もともとセゾン・ビールとは、アルコール度数1.5~3%程度の軽めの”テーブルビール“(学校でも提供されていた低アルコール度数のビール)と変わらないタイプだった。時が経つにつれ、より強く、しっかりしたビールへと変化していったのだ。
現在、典型的なセゾン・ビールはオレンジ色をしており、強炭酸。瓶内発酵によって泡立ちがよい。香りはフルーティーまたはフローラルなのが特徴で、セゾン・ビールらしい香りが心地良い。ドライホッピングで造られる最近のセゾンは、エキゾチックな香りのホップを使用している。上面発酵のビールで、アルコール度数は5%から6.5%のものが多い。発酵段階では、伝統に則って暖かい部屋で再発酵が行われ、そこにホップが加えられる。その後、瓶内発酵でCO2が増加することにより、爽やかな味わいに。

 

代表的な醸造所

デュ・ボック醸造所

1858年に設立された、ベルギーでも数少ない伝統的な醸造所であり、ワロン地方では大規模な醸造所のひとつ。ピュルノッドの農家であるMartin Belot氏が、農場の建物で初めてビールを醸造したことからセゾン・ビール造りが始まった。質・量ともに他に類を見ない水の層をピュルノッドで発見できたことは、醸造所にとって大きな財産となった。デュ・ボック醸造所では、上面発酵および瓶内二次発酵という、伝統的なプロセスを守り続けている。

デュポン醸造所

セゾン・ビールの基本をつくった醸造所。その歴史は1759年から続くリモー・デリッダー農場醸造所を初代ルイ・デュポンの父親、アルフレッドが買い取ったところから始まり、現代表兼、醸造責任者であるオリビエ・ドゥデケール氏は4代目。夏の間、季節労働者の疲れと渇きを癒すために造られていたビール「セゾン」。醸造所を代表する「セゾンデュポン」は世界中からお手本とされており、セゾンビール:ファームハウスエールのルーツと言っても過言ではない。

セゾン・ビールを飲んでみよう!
Let’s try some Saison beer!

ここまで読み進めてきたならば、セゾン・ビールを飲みたい気分が高揚しているはず!ベルギービールウィークエンドでお馴染みのセゾン・ビールを2種類ご紹介しよう。

セゾン1858

1858年のデュ・ボック醸造所の設立を記念して造られたビール。ろ過をしておらず、ホップの利いた味わいと柑橘系のフルーティーさが特徴です。リフレッシュするのにぴったりの爽やかなビール。タコスなどのメキシカン料理やグリーンカレーといった、スパイシーな料理にもピッタリ!

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セゾン・デュポン

ホップの苦みと豊かな香りが堪能できる、ベルギーを代表するセゾン・ビール。冷蔵技術が発達する前の時代から、冬の間に仕込み、夏の畑仕事で乾いた人々の喉を潤していた。ローストチキンやムール貝の蒸し焼きに加えて、無性に食べたくなるラーメン、冷やし中華、素麺、蕎麦にもピッタリ!

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