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【Let’s SIP!】鳩とベルギーの知られざる深~い関係

ベルギーといえば、ビール、自転車、チョコレート…と様々な「◯◯大国」として知られているが、実はもうひとつ、知られざる「大国」がある。それはなんと「鳩大国」!鳩とベルギーの意外で深~い関係について、一緒に見ていこう。

ベルギーは鳩レースの聖地
Belgium: The Pigeon Racing

日本ではあまり馴染みのない「鳩レース」は、実は世界中で非常に盛んだ。このレースの発祥は1810年頃のベルギーで、いわゆる伝書鳩が起源となる。産業革命前のヨーロッパでは、伝書鳩が情報の伝達手段として広く利用されていた。特に戦時中には、伝書鳩が軍事通信に重要な役割を果たし、敵の目を避けて重要な情報を迅速に伝える手段として重宝された。
ベルギーでは、レース鳩の飼育や血統管理が非常に進んでおり、世界でも名高い。鳩レースの聖地とも称され、鳩の取引が盛んで、高価な鳩は時に数千万円、さらには数億円で取引されることもある。

鳩レースの仕組みとは?
How Do Pigeons Play the Game?

基本的な仕組みは、レース鳩がスタート地点から放たれ、自分の鳩舎まで戻ってくる速さを競う。これを支えるのは、鳩の優れた帰巣本能。渡り鳥や鮭のように、自分の故郷に戻る能力をフルに活用。鳩の足にはチップ入りのタグが装着されており、鳩舎に戻った時間が記録される。この技術と鳩の帰巣本能を活かして、どの鳩が一番早く戻るかを競うのだ。ベルギーでは地域コミュニティも一体となり、まるでお祭りのように盛り上がる。

日本の鳩レース事情
Pigeon Racing in Japan: From Hokkaido to Kagoshima

今回は特別に、一般社団法人日本鳩レース協会の会長にインタビューを行い、来年の設立75周年を控えた競技の奥深さとその魅力について話を聞くことができた。

日本国内の放鳩地として北は北海道の稚内、南は鹿児島までが指定されている。これにより、短距離レースから1,300kmにも及ぶ長距離レースまで、幅広い距離で競技が行われている。短距離レースは数時間で決着がつく一方、長距離レースでは鳩が1~2日かけて帰巣することもある。

鳩レースの成功には、鳩の徹底した管理が欠かせない。レース鳩は、早朝と午後に約1時間半の飛翔訓練を行い、適切な栄養管理と健康チェックが行われる。まさにアスリートさながらの生活!また、筋肉の発達やスタミナを維持するために特別な飼料が用意され、公園にいる一般の鳩とは大きく異なる体質が形成されている。(コミックでも紹介しているよ!)

美食家が愛する鳩肉料理
Gourmet Delight: Foodies Adore Pigeon Dishes

ベルギーやフランスでは、食用鳩の飼育も盛んであり、鳩肉料理は高級食材として親しまれている。鳩肉専門料理店があるほど非常に人気が高い。
鳩肉は栄養価が非常に高く、「動物界の高麗人参」とも称されるほど。そのカロリーは鶏肉の3/4以下、たんぱく質は1.3倍以上と、健康志向の食材としても注目を集めている。特に、夏の疲労回復に効果が期待できるビタミンB1やB2、ミネラルも豊富で、美食家に愛される理由も納得だ。鳩肉の赤身は濃厚でジューシー、まるでレバーのような風味が特徴。煮込み料理やロースト、パイ料理などがあり、ベルギー各地域やレストランで異なる調理法で味わえる。

鳩肉料理と相性抜群のベルギービール
Belgian Beer Meets Pigeon Cuisine: A Match Made in Gastronomic Heaven

鳩肉料理とベルギービールの組み合わせは、絶妙なハーモニーを奏でる。ベルギービールの中でも特に、ワインのようなフレーバーと酸味を持つものが、鳩肉の濃厚な風味を引き立てる。
中でも、レッド・ビールは、その豊かなフレーバーと適度な酸味が特徴。鳩肉のジューシーさやレバーのような濃厚な風味と絶妙にマッチし、料理全体のバランスを整えてくれる。ビールのフルーティーな香りが、鳩肉料理の深い味わいを引き立てる。
さらにスペシャル・アンバーや、スペシャル・ブラウン・ダークタイプのビールは、豊かなロースト感と甘みが特徴。鳩肉の濃厚さと相性が良く、料理の風味を引き立てつつ、ビール自体のコクがしっかりと感じられる。濃厚な鳩肉料理に対する完璧な対比となり、食事の楽しさを倍増させる。

ベルギーを訪れた際には、ムール貝やフリッツ、カルボナードといった定番料理も良いが、鳩肉料理とベルギービールのペアリングもぜひ試してみてほしい。鳩肉の豊かな味わいとベルギービールのフレーバーが織りなす絶妙なコンビネーションは、新たな美食体験を提供してくれるだろう。

さ・ら・に!

鳩とベルギーの深い関係を調べていくうちに、「鳩」がいかにベルギービール好きにとって身近な存在だったのか思い知らされた。というのも、ベルギービールファンなら1度は飲んだことがあるだろう「ボレケ」の醸造所には鳩をシンボルとしたビールも販売している。また、ベルギービールが飲めるレストランには、鳩レースに関連する”モノ”が飾られているのだ。

DE KONINCK(デ・コーニンク)醸造所

アントワープ市を代表するビール“ボレケ”を造るDE KONINCK(デ・コーニンク)醸造所の壁画やエントランスには鳩のデザインが!また鳩ラベルのビールも現地で飲むことができる。

いつも見ている鳩が、こんなにスタイリッシュになるとは、さすがベルギーマジック。

こんなところに、あったの?!

本場ベルギーのビアカフェ・スタイルが日本で楽しめるベルジャン・ブラッセリー・コートには、鳩レースに使われた記録時計“ピジョンタイマー”が飾られている!

これに気付いたベルギービールファンは、今までいたのだろうか….?

ベルギービールウィークエンド2024の会場で目にする鳩のデザインは、ただの平和の象徴ではなかった!鳩とベルギーの深い関係性が少しでも伝わったのなら嬉しい限りである。

今年のBBW2024で、鳩のデザインをいくつ見つけられるか探してみよう。そして次に鳩を見かけたら、ちょっとした鳩の豆知識で周りの人を驚かせてみてはいかがだろうか。

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